鮮やかな葉や色とりどりの花で、私達を癒してくれる観葉植物ですが、その美しさを保つためには肥料が必要です。
しかし、ただやみくもに与えれば良いというものではありません。
観葉植物の種類や状況によって適切なものを選び、正しい方法で与えなければ、かえってその美しさを損ねてしまうことになりかねません。
そこで今回は観葉植物に肥料をあげるときの注意点や正しい肥料の与え方を紹介していきます。
観葉植物にあげる肥料の役割
植物は土の中の栄養を吸収することによって成長しますが、植物の生育に必要とされる三大要素は土の中で不足しやすいので、それらを補い、観葉植物の生育を助け、鮮やかさを保てるようにするのが肥料の役割です。
肥料はこの三大要素を配合することによって作られており、肥料ごとに配合が異なるため、目的に合わせた配合の肥料を使用する必要があります。
三大肥料とは
1つ目は窒素です。葉や茎を大きくするために必要とされ、植物を成長させる役割を持っています。葉を鮮やかにするのも窒素の効果です。花や実をつける観葉植物の場合、窒素が多すぎると葉が出すぎて花つきや実つきが悪くなるので注意が必要です。
2つ目はリン酸です。花や実の成長を促す要素であり、根の生育にも必要とされます。花や実をつける観葉植物の場合不足しやすくなるので意識して肥料を選びましょう。
3つ目はカリウムです。根の成長に必要であるとともに、害虫や病気に対する抵抗力と耐寒性を高める役割も持っています。不足すると根が弱くなり、根腐れを起こしやすくなります。
こんなときはこの肥料
観葉植物の状態によって与える肥料は違います。ここでは葉に元気がない場合、花が咲かない場合、小さい観葉植物、大きな観葉植物にどんな肥料を与えると良いのか紹介していきます。
葉に元気がない場合
直接葉に吹きかける、スプレータイプの液体肥料がおすすめです。窒素の配合が多めのものを使用しましょう。
スプレータイプは、葉から直接吸収されるため即効性に優れています。手軽で利便性が高く、初心者にも扱いやすいのが利点です。
花が咲かない場合
リン酸が多く配合された錠剤肥料と液体肥料を併用しましょう。錠剤肥料は土の上に置くことによって栄養が溶け出し、安定して効果が持続します。更に液体肥料を加えることで、錠剤肥料の効果を補強することができます。
小さい観葉植物
卓上等に飾る小型の観葉植物の場合、消費される栄養分が少ないため、肥料の濃度が高すぎると、栄養過多によって傷んでしまう原因になります。低濃度の肥料を選ぶか、水で希釈するタイプの液体肥料で水やりの代わりに栄養補給を行いましょう。
大きな観葉植物
植物が大きいと必要とされる栄養分が多いため、高濃度の肥料を選びましょう。錠剤肥料であれば数ヶ月〜1年の間安定して効果が持続します。観葉植物に合った成分比率のものを選んで与えることが大切です。10以上の比率12:12:12などを選ぶようにしましょう。
肥料の正しいやり方とは?
ここでは肥料の正しいやり方を3つ紹介していきます。
植え替えるときの肥料のやり方
植え替えの際には持続性が高い大粒の錠剤肥料を使用しましょう。小粒の錠剤肥料は効果が短いため、大粒のものを使用するのがおすすめです。
このとき、錠剤肥料が根に直接触れないようにするか、根に触れても害がないタイプのものを使用しましょう。
肥料が根に触れてしまうと根腐れの原因になります。また、植え替え直後は根が傷んでいるため、根腐れを防ぐために二週間は肥料を与えないで休息させておきます。
肥料には正しいやり方があります。ここでは正しい肥料のやり方を紹介していきます。
追肥のやり方
あらかじめ土に混ぜ込まれた元肥に対して、錠剤肥料、もしくは液体肥料の併用する形で追肥をするのが一般的です。錠剤肥料の場合は、定期的に小粒の錠剤肥料を土に置いて追加します。液体肥料の場合は、定期的に与えるか、水で希釈して水やりと同時に行います。
肥料を与える時期
観葉植物の追肥は、栄養の消費が激しい生育期のみ行います。生育期は月で言うと5月から10月頃に当たりますが、真夏は生育が鈍くなるので肥料の与えすぎに注意しましょう。
10月以降の冬の時期は、植物の成長が鈍り、栄養の消費が滞ってしまうため、追肥を行うと栄養過多で逆効果になってしまいます。冬の時期は追肥は行わないようにしましょう。
ただし、植物の種類によっては、冬に追肥を必要とするものや、花が咲き終わった後に追肥をすることで、後の生育をよくするものもあるので、あらかじめ確認しておくようにしましょう。
肥料を与える頻度
生育期には、1週間に1〜2回程度液体肥料を与えるか、低濃度の液体肥料を水やりの水に混ぜて与えましょう。
秋は、低濃度の液体肥料を1週間に1回程度の頻度で与え、成長が止まったと見られたら追肥を止めます。錠剤肥料の場合は、生育期には2ヶ月程度に1回、小粒のものを与えます。秋頃になったら冬の時期に備えて取り除いてください。
観葉植物に肥料を与えるときの注意点
ここでは、観葉植物に肥料を与えるときの注意点を3つ紹介していきます。
与えすぎない
必要以上に肥料を与えると「肥料焼け」と呼ばれる状態になり、土が根から逆に水分を吸収してしまい、植物が枯れる原因になります。
肥料のパッケージの説明文をよく読み、適量を与えましょう。また、観葉植物の種類によっては、肥料をあまり必要としないものや、元々強い成長力を持つものもあります。
こういった植物には、肥料の与えすぎが起こりやすいため、追肥の頻度や、肥料の量を抑えたほうが良いこともあります。
肥料は混ぜない
肥料は有機肥料と、化成肥料の二つに分けられます。腐葉土等有機物から作られた有機肥料は虫を寄せつけやすく、匂いも強いことから、室内に置かれることが多い観葉植物にはあまり適しません。
そのため、観葉植物には無機物で作られた臭いが少なく、虫が湧きにくい化成肥料を用いるのが一般的です。
し異なる肥料を混ぜた場合は、化学反応を起こす場合があります。化学反応によって植物を傷めてしまうのはもちろん、有毒ガスが発生する可能性もあり、非常に危険です。
また、肥料は単体の製品で十分な効果を出せるように配合されており、混ぜても効果が上昇することはありませんので、絶対に混合はしないでください。
弱った観葉植物にはあげない
観葉植物が弱ってしまう原因は、栄養不足だけではありません。根が傷んでいたり、日当たりや風通しが悪かったり、普段の環境に問題がある可能性があります。
根が傷んでいる状態で、肥料を与えると根腐れにつながるため、まずは普段の環境や水やりの仕方などに、問題がないかを確認してください。
そして、直射日光を避けた上で、日の当たる、風通しが良いところで休養させましょう。
追肥は、植物が回復してきたころに、低濃度の液体肥料を葉や茎に散布するように行うと効果的です。直接散布することで根に負担がかかるのを避けることができます。
まとめ
肥料は、観葉植物本来の美しさを保つために欠かせないものですが、扱い方によってはかえって害を与える原因になってしまうこともあります。
肥料選びの際には、肥料そのものの、説明をよく読むことはもちろん、育てたい観葉植物の特性も十分に理解した上で、目的に合わせたものを適切に与えるように心がけるようにしましょう。